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キッチンのひどい油汚れ…賃貸退去時の原状回復費用は誰が負担する?

  • 執筆者の写真: 石田敦也
    石田敦也
  • 2023年11月2日
  • 読了時間: 4分

更新日:5月27日

【神戸市北区の賃貸管理はお任せ下さい】

熱血賃貸・情熱管理‖ダイヤモンドコンサルティング


◆ひどいキッチンの油汚れ、費用負担の境界線とは?


私たちも経験上、賃貸物件の退去立ち会い時に、キッチンの油汚れがあまりにひどく、驚くケースは少なくありません。


特に単身の入居者様の場合、「仕事が忙しくて掃除どころではない!」という方もいらっしゃいますが、賃借人には借りた部屋を良好に管理維持していく責任があります。


「家賃だけ払っていればそれでいい」というわけにはいかないのです。これは、民法に定められている「善管注意義務」に関わる問題です。


善管注意義務違反と清掃費用


国土交通省のガイドラインには、以下のように記載されています。


「ガスコンロ置き場、換気扇等の油汚れ、すす(考え方)使用期間中に、その清掃・手入れを怠った結果汚損が生じた場合は、賃借人の善管注意義務違反に該当すると判断されることが多いと考えられる。」


これは、賃借人が入居中に掃き掃除・拭き掃除・水回り清掃・換気扇レンジ回りの油汚れを落とすことは当然であり、これを怠って汚損が発生した場合は、善管注意義務違反に該当する可能性が高いということを示しています。


つまり、「忙しい」は言い訳にはなりません。ただし、新品のようにピカピカに掃除して戻す必要はありません。通常の清掃を行っていれば、清掃費用を請求されることはほとんどありません。


経年劣化による多少の傷や汚れは、賃借人負担にはなりませんのでご安心ください。


この「通常の使用」と「善管注意義務違反」の線引きは非常に微妙であり、数値で明確に示すことが難しいため、最終的には話し合いで解決するしかありません。


賃貸人・賃借人双方で、入退去時の物件の状況を写真に撮っておくなど、記録を残しておくことが非常に重要です。


原状回復の基本的な考え方


国土交通省のガイドラインでは、原状回復を以下のように定義しています。


「原状回復とは、賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損(以下「損耗等」という。)を復旧すること」


つまり、賃借人の故意や過失、または善管注意義務違反による損耗・毀損は賃借人が費用を負担し、建物の自然な劣化(経年変化)や通常の使用による損耗は賃貸人が費用を負担するというのが基本的な考え方です。


キッチンの油汚れの場合、日常的な清掃を怠ったことによる著しい汚れは、「善管注意義務違反」とみなされ、賃借人負担となる可能性が高いです。



◆賃貸管理における対策


神戸市北区で賃貸物件を所有されているオーナー様が、退去時の油汚れトラブルを未然に防ぐためには、いくつかの対策が考えられます。


  1. 契約書への明記: 退去時のハウスクリーニング費用や、通常使用を超える汚れ(キッチンの油汚れや水回りのカビなど)の除去費用は賃借人負担となる旨を、賃貸借契約書に明確に記載しておくことが重要です。ただし、あまりに高額な費用を請求する特約は、消費者契約法に抵触し無効となる可能性もあるため、注意が必要です。国土交通省のガイドラインには、契約書に添付する原状回復の条件に関する様式例も示されていますので、参考にすると良いでしょう.


  2. 入退去時の状況確認: 入居時と退去時に、物件の状況を細かく確認し、「入退去時の物件状況及び原状回復確認リスト」などを活用して記録を残しましょう。写真などを併用することで、後々のトラブルを防ぐことに繋がります.


  3. 定期的な情報提供: 入居者様に対して、「入居のしおり」などで日常的な手入れや清掃の重要性、設備の使用上の注意点を周知することも有効です。





◆まとめ


賃貸物件のキッチンの油汚れは、その程度によって原状回復の費用負担が変わってきます。通常の清掃を怠った結果生じた著しい汚れは、賃借人負担となる可能性が高いことを理解しておくことが重要です。


賃貸管理を行っているオーナー様は、契約時の明確な条件提示と、入退去時の丁寧な状況確認を行うことで、退去時のトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。


神戸市北区‖賃貸管理・不動産に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。









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