リフォームは完成した日から劣化する|空室期間中の簡易清掃が成約を左右する理由
- 石田敦也

- 7月25日
- 読了時間: 5分

自動車のディーラーに行って、ショールームの床がホコリだらけ。展示されている新車のボンネットにもホコリが積もっている。そんなことは、まずありません。
何百万円もする車を販売する場所です。お客様に見てもらう商品だから、常にきれいな状態に保たれています。展示車は定期的に拭かれ、ショールームも清掃され、お客様が来る前にはきちんと確認されています。商品を最高の状態で見てもらうのが、販売する側の仕事だからです。
不動産はどうでしょうか。売買でも賃貸でも、空室になっている部屋は「商品」です。ところが現場では、何百万円もかけてリフォームした部屋が、数ヶ月間、清掃されないまま放置されていることがあります。案内していて「もったいないな」と思う場面です。
結論から書きます。リフォームは完成した日がゴールではありません。入居者や買主が決まるまで、その状態を維持する作業が必要です。そして維持の中心は、床を拭く・換気する・水回りを確認するという、簡単な作業です。
なぜリフォーム直後の状態は維持できないのか
リフォーム直後は、もちろんきれいです。クロスも新しい。床もきれい。キッチンや浴室などの水回りもピカピカで、「これならすぐに決まりそうだな」と思うような部屋です。
ところが空室期間が長くなると、床にはホコリがたまり、窓やサッシも汚れてきます。排水口から臭いが上がることもあります。せっかくお金をかけてきれいにした部屋が、少しずつ「住みたくない部屋」に近づいていきます。
だから私は「リフォームは完成した日から劣化する」と考えています。リフォームした設備が翌日から壊れるという意味ではありません。リフォーム直後のきれいな状態は、何もしなくても維持できるわけではない、という意味です。
自動車のディーラーが展示車を何ヶ月もホコリだらけのまま放置しないように、不動産も空室だからと放置するべきではありません。空室は「誰も住んでいない部屋」ではなく、「これからお客様に見てもらう商品」です。
何百万円かけても、最後に靴下が真っ黒になる
これは、私が不動産の現場で実際に経験したことです。
売買でも賃貸でも、何百万円もかけて室内をきれいにリフォームした物件があります。ところがその後しばらく空室が続き、その部屋を案内することがあります。
案内を終えて外に出て、靴を脱いだとき。靴下の裏が真っ黒になっている。そんなことが、実際にありました。
もちろん床が真っ黒だったわけではありません。空室期間中に少しずつホコリがたまり、その上を歩いたことで靴下の裏に汚れがついたのです。そのとき私は「何百万円もかけてリフォームしたのに、本当にもったいないな」と思いました。
売主さんや大家さんは「これだけお金をかけて、きれいにしたのだから」と思っています。しかし、内見する人が見るのは、リフォームにいくらかかったかではありません。今日、この瞬間の部屋です。
どれだけお金をかけてリフォームしても、床にホコリがたまり、排水口の臭いがし、部屋の空気がこもっていれば、せっかくのリフォーム効果は大きく損なわれます。これは本当にもったいないことです。
空室期間中の簡易清掃は、何をすればいいのか
では、空室管理のために毎回プロのハウスクリーニングを頼まなければいけないのでしょうか。私は、そこまで難しく考える必要はないと思っています。
空室期間中にたまるホコリの多くは、床に落ちています。ですから、空室を見に行ったときにクイックルワイパーなどのフロアワイパーで床をサッと拭く。これだけでも違います。
掃除機を持って行く必要もありません。クイックルワイパーを1本、空室に置いておけばいいのです。
定期的に部屋を見に行き、床を拭く。または内見の予約が入ったら、清掃をしに行く。それだけでも、リフォームした部屋の状態を維持できます。
何百万円もかけてリフォームした部屋なら、そのくらいの手間はかけてもいいのではないでしょうか。
もちろん、換気や水回りの確認も必要です。長期間閉め切った部屋は空気がこもります。排水トラップの水が減れば、排水口から臭いが上がることもあります。内見前には、床だけでなく、室内の臭いや水回りも確認しておきたいところです。
その簡易清掃は、管理会社がやってくれるとは限らない
ここで、大家さんに確認してほしいことがあります。空室期間中の簡易清掃を、不動産会社や管理会社がやってくれているとは限りません。
会社によっては、定期的に空室を巡回し、床のホコリを拭いたり、換気や通水をしてくれるところもあります。
一方で「空室の清掃は、入居前のハウスクリーニングで対応します」という管理会社もあります。つまり、同じ賃貸管理でも、空室期間中にどこまで対応してくれるかは会社によって違います。
一度、「空室は定期的に見に行っていますか」「簡易清掃はしていますか」「換気や通水はしていますか」と確認してみてください。
大切なのは、誰が空室を管理するのかを決めておくことです。空室管理は、誰かがやらなければ、誰もやりません。
リフォームした状態を維持するという考え方
必要のないリフォームをする必要はありません。しかし、せっかくリフォームした部屋を、空室だからと放置するのももったいない。
クイックルワイパーで床を拭く。換気する。水回りを確認する。内見前にもう一度チェックする。特別なことではありません。
大切なのは「リフォームしたから終わり」ではなく「リフォームした状態を維持する」という考え方です。
何百万円もかけてリフォームした部屋を、空室管理で台無しにしない。せっかくのリフォームを、次の入居者や買主にきちんと見てもらう。そのためにも、空室期間中の簡易清掃を、一度見直してみてはいかがでしょうか。
石田敦也
有限会社ダイヤモンドコンサルティング 代表
宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/相続診断士
神戸市・芦屋市・西宮市を中心に、不動産売買・賃貸管理・相続相談を行っています。



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