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【不動産売却の極意】老人ホーム入居前に自宅を売却すべき理由と対策

  • 執筆者の写真: 石田敦也
    石田敦也
  • 2022年3月28日
  • 読了時間: 8分

更新日:5月29日


認知症

【高齢化社会における不動産売却の重要性】


今日の日本は、65歳以上の人口が約30%を占める超高齢化社会に突入しています。それに伴い、大きな課題となっているのが認知症です。2020年には、65歳以上の高齢者の約16.7%にあたる約602万人の方が認知症と診断されており、もはや「他人事」では済まされない状況です。


認知症になると何が困るのか?


もしご自身やご家族が認知症と診断されてしまうと、以下のような重要な行為ができなくなってしまいます。


  • 不動産売買の契約

  • 預貯金の引き出し

  • 遺言書の作成など相続対策


残念ながら、認知症発症後にご本人が行った不動産売買契約や遺言書の作成は、法的に無効となる可能性が高いです。そうなってしまうと、ご家族は裁判所を通じて成年後見人を選任するなどの複雑で時間と費用のかかる手続きが必要となり、多大な負担を強いられることになります。


だからこそ、ご自身の意思が明確で健康なうちに、ご自宅をどのようにするのか(売却するのか、誰かに引き継ぐのか)を決めておくことが何よりも重要です。




【老人ホーム入居後の空き家管理は大きな負担】


「老人ホームに入るけれど、自宅はそのままにしておこうかな」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、家を売却せずに老人ホームへ入居した場合、空き家の管理は想像以上に大変な負担となります。


一戸建ての場合、定期的な雑草や植栽の管理は欠かせません。また、空き家は不法投棄のターゲットになったり、空き巣などの防犯リスクも高まります。これらを家族が対応するのか、あるいは費用を払って専門業者に委託するのか、いずれにしても手間と費用がかかります。


さらに、誰も住んでいない実家であっても、火災保険料、固定資産税、電気・ガス・水道といった公共料金の支払いは毎年発生します。空き家を放置することは、精神的・金銭的に大きな負担となることをご理解ください。


老人ホームへの入居を検討されている方は、事前にご家族とよく話し合い、ご自宅の今後について計画を立てておくことが大切です。



譲渡所得税

【自宅売却の税制優遇「3,000万円特別控除」を活用しよう】


ご自身が住んでいた家を売却し、購入時よりも高く売れた場合、売却益(譲渡所得)に対して税金がかかる可能性があります。


例えば、購入時の価格やリフォーム費用などの経費を差し引いたとしても利益が出れば、その利益は課税対象となります。税率は、所有期間が5年以下の場合で39.63%、5年超の場合で20.315%と決して安くはありません。


しかし、ご自身のマイホームを売却した場合に限り、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」という特例が認められています。これは、売却益から最大3,000万円まで控除できる非常に大きな税制優遇です。


この3,000万円特別控除を適用するためには、原則として転居してから3年後の12月31日までに売却を完了させる必要があります。また、建物を解体した場合は、解体から1年以内に売却する必要があります。


つまり、老人ホームに入居して3年以上経過してしまうと、この優遇措置が使えなくなり、多額の税金が発生する可能性があるのです。時間的な余裕を持って、老人ホーム入居前に売却を進めることが、賢明な選択と言えるでしょう。


当社では、売却金額の査定から税金に関するアドバイスまで、売却前からお客様をサポートさせていただきます。ご自宅の売却に関するご不明点があれば、ぜひお気軽にご連絡ください。お忙しい方や遠方にお住まいの方には、オンラインでのご相談も承っております。








【身体的な負担を軽減する「代理契約」の活用】


高齢になると、足腰が弱くなったり、字を書くことが困難になったりと、身体的な支障から不動産売却の決断が遅れるケースも少なくありません。


しかし、ご心配はいりません。ご家族に代理人として契約を依頼し、買主様に家を引き渡すことは法的に可能です。例えば、お子様(長男など)に委任状を作成し、印鑑証明書を添付することで、親御様の不動産売買契約や代金の受け取りなどを任せることができます。


所有権移転登記の際も、司法書士によるご本人様の確認と意思確認ができれば問題ありません。


認知症ではなく、ご自身の意思が明確に確認できる状態であれば、この代理契約を積極的に活用し、老人ホーム入居前に売却を進めることをお勧めします。


当社では、複雑な委任状の作成についても、相続診断士・宅地建物取引士がサポートしておりますので、安心してご相談ください。





【もし認知症になってしまったら?成年後見制度と家族信託】


残念ながら、一度認知症になってしまうと、ご本人が一人で不動産売買契約を行うことはできません。また、認知症になってからご家族に代理契約を依頼することも法的に認められません。


このような事態に備えて、成年後見制度または家族信託の利用を検討する必要があります。


成年後見制度


成年後見制度は、認知症などで判断能力が不十分になった方を、後見人がサポートする制度です。 この制度には、大きく分けて法定後見制度任意後見制度の2種類があります。


  • 法定後見制度: 家庭裁判所が後見人を選任します。後見人は親族の場合もありますが、弁護士や司法書士といった専門家が選任されることも多く、その場合は亡くなるまで高額な費用(月数万円程度)が発生します。


  • 任意後見制度: ご本人が健康なうちに、自ら後見人を選び、公正証書によって契約を交わします。費用は話し合いで自由に決められますが、任意後見監督人(家庭裁判所が選任)への報酬も必要となります。


成年後見制度を利用すると、毎月数万円程度の費用がかかるだけでなく、不動産売却時には別途数十万円の費用が発生することもあります。ご自身が健康なうちに売却を済ませておくことが、ご家族の負担を軽減するためにも賢明な選択です。


家族信託


家族信託とは、ご自身の財産(不動産や預貯金など)を信頼できるご家族に託し、その管理や処分を任せる仕組みです。


成年後見制度のような複雑な手続きや家庭裁判所への申し立てが不要というメリットがあります。


不動産の売却だけでなく、買い替えや建物の建設など、より積極的な資産運用も任されたご家族の判断で進めることが可能です。認知症になった際の預貯金の引き出しや不動産の処分において、家族信託は非常に有効な手段となります。


家族信託を利用するには、専門的な知識が必要な契約書を作成する必要があります。弁護士、司法書士、行政書士などの専門家に相談して作成するようにしましょう。





【まとめ】:計画的な不動産売却で安心の老後を


健康を損なったり、認知症を発症してから不動産を売却することは、想像以上に手間と時間、そして費用がかかります。ご家族にとっても大きな負担となる可能性があります。


ですから、早いうちに、ご家族とじっくり相談し、計画を立てて売却を進めることが何よりも重要です。老人ホームへの入居を検討されている方は、この機会にぜひご自宅の売却を真剣に検討してみてはいかがでしょうか。


神戸市北区での不動産売却は、ぜひ当社にお任せください。お客様一人ひとりに寄り添い、最適な売却プランをご提案いたします。


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よくあるご質問(Q&A)


Q1. 認知症になってからでも家を売却できますか?


A1. 残念ながら、ご本人が認知症と診断され、ご自身の意思能力が十分に確認できない状態では、ご本人単独での不動産売買契約はできません。また、ご家族が代理で契約することも困難です。その場合、成年後見制度の利用などを検討する必要がありますが、手続きが複雑で時間と費用がかかります。


Q2. 老人ホームに入居してから何年以内に家を売却すれば税金がお得になりますか?


A2. ご自身が住んでいた家を売却する場合、「3,000万円特別控除」という大きな税制優遇が利用できます。この控除を適用するためには、原則として転居してから3年後の12月31日までに売却を完了させる必要があります。この期限を過ぎると、税金が高くなる可能性がありますので注意が必要です。


Q3. 身体が不自由で不動産売却の手続きが難しいのですが、どうすればよいですか?


A3. ご安心ください。ご本人の意思が明確な状態であれば、ご家族に「代理人」として不動産売買契約を任せることが法的に可能です。委任状の作成など、必要な手続きについては当社でもサポートさせていただきますので、お気軽にご相談ください。


Q4. 空き家になった実家をそのままにしておくと、どんな問題がありますか?


A4. 空き家を放置すると、雑草や植栽の管理、不法投棄、空き巣などの防犯上の問題が発生します。また、火災保険料、固定資産税、公共料金などの維持費用も毎年発生します。放置すればするほど、手間と費用が増えていく可能性があります。


Q5. 成年後見制度と家族信託、どちらを選べばいいですか?


A5. どちらも認知症になった場合の財産管理に役立つ制度ですが、それぞれ特徴があります。成年後見制度は家庭裁判所が後見人を選び、費用もかかります。家族信託は、ご家族が財産管理を行うため、より柔軟な運用が可能ですが、専門家による契約書作成が必要です。どちらが最適かは状況によって異なりますので、専門家にご相談いただくことをお勧めします。




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