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家賃台帳の入力、まだ手でやっていますか|中小の管理会社がAIに最初に任せるべき仕事

執筆者の写真: 石田敦也
石田敦也
15 時間前
読了時間: 6分
管理業務にAIを活用

中小の管理会社が、AIに最初に任せるべき仕事


結論から書きます。社員数人の管理会社が最初にAIへ渡すべき作業は、たった一つです。


銀行の入金明細を見ながら、オーナーごとの家賃台帳に入金を入力していく作業です。どの入金がどの部屋の何月分かを見比べて、台帳のマス目を埋めていく、あの作業です。


毎月必ず発生して、間違えるとオーナー送金にまで響き、そのくせ営業判断は一切要らない。効果が一番大きいのがここだからです。


当社も小さな管理会社です。私の手元の物件だけでも、1時間かかっていた転記が、1分になりました。



月初の事務所で、何が起きているか



ネットバンキングの入金明細を印刷する。オーナーごとの家賃台帳を開く。


あとは、紙を指で押さえながら部屋番号と金額を目で追い、ひたすら打ち込んでいく。


途中で客付けの電話が鳴る。内見の鍵の問い合わせが入る。入居者から水漏れのクレーム電話まで飛び込んでくる。戻ってきたら、どこまで打ったか分からない。


打ち終わって合計を見たら、台帳と通帳が合っていない。もう一周する。


管理戸数が増えるほど、この作業は事務の誰か一人に張り付きます。その人が休んだ月は、オーナー送金が遅れる。小さな会社ほど、ここが一番もろいところです。


業者仲間で集まると、だいたい同じ話が出ます。「あれ、なんとかならんの」と。なりました。



いま当社でやっていること



入金明細のPDFと、いつも使っている家賃台帳のエクセル。この2つをClaude(クロード、Anthropic社のAI)の画面に放り込んで、日本語でこう打ちます。


実際に打つ一行

9月分の入金を、この台帳に転記して


以上です。1分後、転記の終わった台帳が返ってきます。


家賃台帳自動化

大事なのは、ここで何を「していないか」です。


  • プログラミングは覚えていません。

  • エクセルのマクロも関数も触っていません。

  • 高い管理ソフトも入れていません。

  • 家賃台帳も作り直していません。


長年社内で使ってきた、見づらい自作の台帳のままです。覚えたのは、さっきの日本語の一行だけ。



高い管理ソフトは、いりません



「家賃台帳を自動化したいなら、管理ソフトを入れればいい」と思われるかもしれません。


でも、小さな管理会社にとって管理ソフトは月額が数万円、導入時にはさらに初期費用もかかって重い。しかも今の台帳からデータを移し替え、社員全員が操作を覚え直す必要があります。


だから当社も含め、エクセルの自作台帳と手入力で回している会社が、実際には多いはずです。


この記事は、その「管理ソフトを入れていない会社」が前提です。


Claudeの料金は、月3,600円ほど(有料のProプラン・税込。ドル建てなので為替で多少変わります)。月数万円の管理ソフトと比べれば、桁がひとつ違います。


そして、この料金で使えるのは家賃台帳の入力だけではありません。送金明細や請求書づくり、ファイル名の整理、物件資料の文章づくりなど、事務所のパソコン業務のほとんどに、同じやり方で使えます。


毎月決まった作業なら、日にちを決めておくだけで完全自動で動かすこともできます。当社でも、請求書づくりなどの定例作業は、もう人が手を付けなくても毎月仕上がってきます。


そのために難しい知識は、何もいりません。プログラミングもマクロも覚えず、日本語で頼んで、手直しを伝えるだけです。


使い方は、どれも同じです。ファイルを渡して、日本語で頼むだけ。パソコンに詳しくない社員でも、その日から使えます。


エクセルの関数で自動化できなかったのには、はっきりした理由があります。通帳の振込名義が、半角カタカナだからです。


台帳には「日本商事」と漢字で書いてある。ところが通帳に並ぶのは ニホンタロウ。借主は法人ですが、振り込んでくるのは代表者個人の口座なのです。


別の部屋は、台帳が「兵庫物産」、通帳が カ)ヒヨウゴブツサンシヨウカイ。法人略号の「カ)」が頭に付き、濁点が落ちていたり、途中で切れていたりもします。


人間の目には一瞬で同じだと分かります。でもエクセルの関数は、文字が一致しないと止まります。


AIは、この半角カタカナと漢字を同じものだと判断できます。月3,600円ほどの道具で、これまで人の目でしか埋められなかった穴が、初めて埋まるようになったのです。



まとめ入金と、保証会社の一括送金



名義の問題の上に、もう一段あります。


日本商事さんは102号室と105号室の2部屋を借りていて、3ヶ月分をまとめて振り込んできます。通帳に出るのは ニホンタロウ 195,000 の一行だけ。


中身は、35,000円+30,000円=65,000円、それを3ヶ月分です。


通帳の一行と台帳の一行が、素直に対応していない。これまでは毎月、頭の中で割り算して、6つのマス目に振り分けていました。


業者にとってもっと厄介なのが、家賃保証会社からの一括送金です。何十件分もの家賃が一本の振込で入り、内訳は別の送金明細書を見ないと分からない。


今は、これもAIが割り振ります。通帳の一行と送金明細書を見比べて、どの部屋の何月分がいくらかまで振り分けてくれる。単なる自動入力ソフトとの決定的な違いはここです。



一度教えれば、次から直っている



最初の一回だけ打った訂正

ニホンタロウは日本商事さんのことです


こう教えると、翌月からは何も言わなくても正しく振り分けてきます。法人略号の読み替えも同じです。


手入力の頃は、担当者が覚えていなければ毎月ゼロから同じ見比べをやり直していました。「この借主は社長個人の口座から払う」という癖が、担当者の頭の中から会社の覚え書きに移る。属人化(特定の人しか分からない状態)が解けるのが、業者にとって一番大きな違いかもしれません。


正直に書いておくと、AIが勝手に賢くなっているわけではありません。訂正した内容が覚え書きとして残っているから、次回も効いている。だから、直すのは最初の一回で済みます。



たまに間違えます



都合の悪いことも書きます。AIは間違えます。


実際にあったのは、まとめ入金の割り振りが一ヶ月ずれていたことです。金額は合っているのに、7月分が8月分の欄に入っていた。


ですから毎月、転記後の台帳の合計と、通帳の入金合計が一致するかだけは、必ず人の目で見ます。合っていれば中身もまず合っている。合わなければ、その月だけ人が追う。


大事なのは、AIが間違えないことではありません。間違えても、すぐ気づける形で使うことです。全部任せて何も見ないのが、一番危ない。


手入力の頃だって、事務の人は打ち間違えていました。しかも人の転記ミスは、合計が合うまで誰も気づけなかったぶん、むしろ性質が悪かったと思っています。



業者として外せないこと



大家さん個人と違い、私たちが扱う明細にはオーナーと入居者、両方の個人情報が載っています。ここは手を抜けません。


  • 入力内容をAIの学習に使わせない設定ができる、業務向けのプランを選ぶ。無料版をそのまま使わない。

  • 渡すファイルは、その月の明細だけに絞る。

  • 管理委託契約や社内の取り扱いルールに、AI・クラウドの利用を書いておく。


この三つを押さえれば、実務で使える水準にできます。逆にここを曖昧にしたまま使うのは、おすすめしません。



システムを入れる前に、まずこれ一点



AIで何ができるかを勉強する必要はありません。毎月、事務の誰かが半日かけている、あの転記だけをやめてください。


月数万円の管理ソフトを入れる前に、今の台帳のまま試せることがあります。うまくいったら、次に何を任せるかはその時に考えればいい。


順番を間違えて「AI全般」から入るから、みなさん挫折するのです。うちの台帳でもできるのかと迷っている同業の方とは、いつでも情報交換したいと思っています。



石田敦也/有限会社ダイヤモンドコンサルティング

宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・相続診断士



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