中山美穂さんの遺産問題――不動産は本当に10ヶ月で売れなかったのか?
- 石田敦也

- 13 時間前
- 読了時間: 3分

先日、女優・中山美穂さんの遺産をめぐる報道が話題になりました。
約20億円ともいわれる遺産に対し、パリ在住の長男が相続を放棄したというニュースです。
多くの報道やブログ記事では「相続税が約11億円にのぼり、10ヶ月以内に現金で納税するのは現実的に不可能だった」という論調が目立ちました。
ただ、不動産の実務に携わる者として、一点だけ素朴な疑問が残りました。
「不動産に限って言えば、本当に10ヶ月では売れなかったのだろうか?」というものです。
10〜15%のディスカウントを受け入れれば、買い手はいる
不動産売却において、「相場より少しディスカウントして早期に売る」という選択肢は、実務上ごく一般的な手法です。
仮に「市場価格より10〜15%安くていいから、早期に買ってほしい」という条件であれば、投資家や不動産ファンドへのオフマーケット売却は十分に現実的です。
特に著名人の物件ともなれば、むしろ通常の物件より注目が集まりやすく、買い手が見つかりやすいという側面さえあります。
実際、マンションや戸建ての買取業者であれば、2〜3日で結論を出すケースも珍しくありません。
ただし、価格は通常よりかなり低くなります。
もちろん、これは「権利関係がクリアであること」が大前提です。
抵当権・差し押さえ・所有権を阻害する権利などが絡んでいれば話は別ですが、
そういった問題がなければ、相続専門の税理士と不動産業者が連携することで、
10ヶ月という期間は決して短くないと感じます。
報道と実務の間にある温度差
世間に出回っている記事の多くは、相続税制度への批判や法律・税制の解説が中心で、「実際に不動産を売る側のプロ」の視点はあまり見当たりませんでした。
「10ヶ月では到底売れない」という言葉が独り歩きしているように感じますが、少なくとも不動産という資産に関しては、私の実務経験から言うと、その見方には少し疑問が残ります。
もちろん、著作権などの無形資産については私の専門外であり、そちらについては何とも言えません。
市場が確立されていない分、買い手を見つけるのに時間がかかる可能性は十分あると思います。あくまで不動産に限ったお話です。
ただ、本当の理由は外からはわからない
とはいえ、長男が相続放棄を選んだ本当の理由は、私たち外部の人間には知る由もありません。
報道されている通り、長年の母子間の疎遠、パリでの生活基盤、様々な家族の事情
それらが複雑に絡み合った、当事者にしかわからない判断があったはずです。
ビジネスの観点だけで「もったいない」と言うのは簡単ですが、人間としての判断はお金だけで測れるものではありません。
この件を通じて改めて感じたのは、相続は「感情と法律と実務」が複雑に交差する問題だということです。いざというときに、信頼できる専門家に早めに相談することの大切さを、改めてお伝えしたいと思います。
世間では相続税の高さが話題の中心になっていますが、本当の問題はそこだったのだろうか。
少なくとも不動産という観点からは、別のところに課題があったように思えてなりません。



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