配偶者居住権と相続税
- 石田敦也
- 2022年4月1日
- 読了時間: 3分
更新日:2024年9月20日
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◆配偶者居住権とは?
配偶者居住権とは、夫婦の片方が亡くなられた場合に残された方が亡くなった人が所有していた家に、亡くなるまで又は一定の期間、無償で住むことができる権利です。
配偶者居住権では、建物を所有権と居住権に分けて考え、残された方は建物の所有権を持っていなくても、居住権を得ることで引き続き亡くなった人が所有していた建物に住むことができます。
この配偶者居住権が成立するための要件は、
①亡くなった方の法律上の配偶者であること
②配偶者が亡くなった人が所有していた建物に、亡くなった時に居住していた
③遺産分割・遺贈・死因贈与・家庭裁判所の審判のいずれかにより配偶者居住権を取得した
尚、配偶者居住権の対抗要件は登記で、建物のみで土地には登記できません。
◆なぜ相続税の節税になるのか?
配偶者居住権は配偶者の死亡によって消滅します。
よって、この配偶者の死亡した2次相続では、配偶者居住権付きの所有権を1次相続で取得した相続人は新たに相続するものはありません。
配偶者居住権は無くなるので、相続財産に含まれないということです。
これが1人残された配偶者を守るための権利が相続税の節税にもつながる仕組みなのです。
わかりやすくするために、簡単な例を上げてみます。
◎1次相続:財産が自宅1000万円と現金1000万円で、相続人が妻と子の2人とします。
自宅に配偶者居住権を設定しその評価額が500万円、現金は二分の一づつに分けます。
すると、妻の相続分は自宅の配偶者居住権の500万円と現金500万円で子供の相続分は自宅の配偶者居住権付きの所有権500万円と現金500万円になります。
やがて、この配偶者が亡くなって2次相続を迎えると、配偶者居住権は配偶者の死亡によって消滅するので、自宅に関しては2次相続で子が新たに相続するものはありません。
つまり、相続税は課税されないと言うことになります。(現金が残っていなければ)
これが、配偶者居住権による相続税の節税の仕組みです。

◆まとめ
自宅を居住権と所有権に分けて考える配偶者居住権は、1人になってしまった配偶者が安心して生活するための制度ですが、意外な節税のメリットがあります。
ただし、他にも「小規模宅地の特例」などの特例もありますので、どれを選択するかは専門家に相談するようにしてください。
<小規模宅地の特例:自宅の土地330㎡までは相続税評価額の80%を減額できる制度>
◆備考:配偶者居住権の評価額計算方法
建物
建物の相続税評価額×残存耐用年数ー配偶者居住権の残存年数/残存耐用年数×残存年数に応じた民法の法定利率による複利現価率
残存耐用年数・配偶者居住権の残存年数・残存年数に応じた民法の法定利率による複利現価率は下記を参照ください。
※残存耐用年数がマイナスの場合は評価額は0円となります。
土地
土地の相続税評価額×残存耐用年数×残存年数に応じた民法の法定利率による複利現価率
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