「【賃貸管理】鍵の貸し出し前に必ず行う本人確認|深夜の実体験」
- 石田敦也

- 1 日前
- 読了時間: 5分

【結論】
鍵の貸し出しは、深夜でも営業時間中でも、
本人と保証人以外には絶対に渡してはいけません。
たった一度の油断で、
入居者本人じゃなく不審者に鍵を渡してしまう──
そんな事故が、本当に起きうるんです。
これは「念のため」じゃなく、
賃貸管理で一番重要なことだと、私は本気で思っています。
────────────────
【深夜にかかってきた一本の電話】
ある日の夜、入居者さんを名乗る方から電話が鳴りました。
「鍵をなくしました。貸してほしいんですけど」
私は会社の電話をスマホにフル転送しているので、
夜でも普通に電話はつながります。
当時は大学近くにワンルームを2棟管理していて、
こういう電話はしょっちゅう。
なので、鍵はいつも自宅に置いてあったんです。
ただ、その日はまずいことに、
帰宅してすぐビールを開けたあと。
さすがに車は出せません。
正直にそう伝えて、こう続けました。
「自宅の六甲アイランドまでタクシーで来てもらえるなら、用意しますよ」
「すぐ行きます」
しばらくして、
アイランドセンターのファミリーマートに着くと、
男女2人が待っていました。
私はいつも通り、鍵を渡す前に質問します。
「生年月日を教えてください」
「勤務先は?」
「保証人のお名前は?」
すると男性が、わりとあっさり「友達なんです」と。
事情の説明を受けた記憶はあるんですが、
こちらの答えはもう決まっていました。
「本人と保証人以外には鍵をお渡しできないんですよ」
ということで、そのまま帰っていただきました。
────────────────
【なぜ、ここまでやるのか】
正直に告白すると、
私は入居者さん全員の顔を覚えているわけではありません。
管理戸数が増えてくると、
お会いするのは契約時の一度きり、という方も少なくありません。
電話で「◯◯ですけど」と名乗られても、
声だけで本人と断定するのは、正直なところ無理です。
だからこそ、
写真付き身分証明書の確認に加えて、
契約書類にしか書かれていない情報を口頭で照合する。
「質問型の本人確認」が必要になるんです。
そして、鍵を本人以外に渡してしまうことのリスクは、想像以上に深刻です。
別れた元交際相手が「彼女の部屋に荷物を取りに行きたい」と来ることもあれば、
ストーカー被害の加害者が「家族です」と装って訪ねてくることもあります。
空き巣の下見、室内の盗撮機材の設置、
もっと言えば命にかかわる事件の発端にもなりかねない。
そして、もし鍵を渡したあとに事件が起きたら、
管理者の責任が問われます。
善意で渡してしまい、中で事件が起きたら、
大家さんは『善管注意義務違反』を問われ、
損害賠償や事故物件化のリスクを背負うことになる
「うっかり渡しちゃいました」では絶対に済まない世界なんです。
私がここまで本人確認を徹底できているのは、
独立する前にいた日住サービスの先輩に、徹底的に叩き込まれたからです。
「店頭でも、深夜でも、本人確認なしの鍵渡しは絶対ダメ」
若い頃に何度も言われ続けたおかげで、
今でも条件反射のように体が動きます。
サラリーマンを辞めて独立して、
神戸の現場をひとりで走り回ってきましたが、
こうした基本だけは絶対に崩しちゃいけないなと、
年を重ねるほど強く感じます。
────────────────
【自主管理大家さんへ──最低限やってほしいこと】
鍵の貸し出しを求められたとき、
写真付き身分証明書の提示は当然のこととして、
それに加えて以下の3点は
第1に、生年月日。
第2に、勤務先。
第3に、保証人の氏名。
これは契約書類にしか書いていない情報なので、
電話の相手と即座に照合できます。
1つでも答えられない、または食い違ったら、その時点で渡さない。
「家族だから」「友達に頼まれたから」は、申し訳ないけど通りません。
そして、応対した日時・相手の名前・確認した内容は、
必ずメモに残しておいてください。
あとで何か起きたときに、自分を守る記録になります。
正直に言うと、
自主管理でここまで対応するのは、なかなか負担が大きいと思います。
深夜の電話、休日の対応、本人確認の徹底──
これを継続するのは、
本業を別にお持ちの大家さんにとって、相当な労力なんですよね。
もし「ここまでは手が回らないなあ」と感じておられるなら、
管理委託も一つの選択肢として、検討してみる価値はあると思います。
────────────────
【Q&A】
Q1. 身分証を見せてもらえば、それで本人確認になりますか?
A. 残念ながら、それだけだと不十分なんです。
免許証や保険証は、偽造や借用のリスクが残ります。
契約書類にしか書かれていない情報(保証人氏名、勤務先など)を
口頭で質問して照合するほうが、はるかに確実ですよ。
Q2. 入居者のご家族が来た場合は、鍵を渡してもよいでしょうか?
A. 原則、渡さないようにしてください。
家族であっても、契約者本人ではないからです。
まず入居者ご本人に電話で確認を取って、
本人の同意があれば、ご家族の身分を確認したうえで対応します。
それでも、あくまで本人優先が原則です。
Q3. 立ち会いで開錠する場合の注意点は?
A. 開錠したあとはすぐに、
鍵業者を呼んで新しい鍵に交換することをおすすめしてください。
古い鍵がどこかでコピーされている可能性を、構造的にゼロにするためです。
費用は、基本的に入居者さんのご負担になります。
【執筆者】
石田敦也/ダイヤモンドコンサルティング
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・相続診断士
対応エリア:神戸市・芦屋市・西宮市
神戸で長年、不動産売買・賃貸管理・相続相談に携わってきました。
このブログでは、現場で実際に起きた出来事をもとに、
大家さん・地主さん・相続資産をお持ちの方に向けて、
失敗を避けるための実務的な視点をお伝えしています。



コメント