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【貸主必読】テナントの用途変更とは?確認申請が必要なケース・費用・罰則まで徹底解説

  • 執筆者の写真: 石田敦也
    石田敦也
  • 1 日前
  • 読了時間: 6分
テナントの用途変更とは?

更新日:2025年4月16日|:宅地建物取引士 石田敦也(ダイヤモンドコンサルティング)



空きテナントにやっと入居者が決まった——そのタイミングで「用途変更の確認申請が必要です」と言われ、契約が大幅に遅れてしまうケースが神戸市内でも後を絶ちません。


最悪の場合、無申請のまま営業を開始して行政から是正指導を受け、テナントとのトラブルに発展した事例もあります。


この記事では、テナントオーナー(貸主)が知っておくべき用途変更の基本から、申請が必要になる具体的なケース、費用の目安、罰則リスク、そして契約前に確認すべきチェックリストまでを一気に解説します。




用途変更とは何か?


用途変更とは、建物の「使い方(用途)」を新築時と異なる内容に変更することです。


たとえば、もともと事務所として建てられた建物を飲食店として使う場合がこれに当たります。

建物の用途は、建築基準法をはじめ消防法・都市計画法など複数の法律と深く関わっています。


用途が変わると必要な設備基準・防火基準・避難経路の要件も変わるため、一定規模以上の変更には行政への届け出(確認申請)が義務付けられています。


根拠法令は建築基準法第87条です。



どんな場合に確認申請が必要になるか


用途変更の確認申請が必要になる条件は、次の2つを同時に満たす場合です。


① 変更後の用途が「特殊建築物」に該当する


特殊建築物とは、不特定多数の人が利用したり、火災時のリスクが高い建物のことで、主に以下が該当します。


  • 飲食店・物販店・ホテル・旅館

  • 病院・診療所・介護施設

  • 劇場・映画館・集会場

  • 学校・保育所・児童福祉施設

  • 共同住宅・寄宿舎


② 用途変更を行う部分の床面積が200㎡を超える


この200㎡という数字は非常に重要です。1棟の建物全体ではなく、用途変更を行う部分の面積で判断します。


1フロアが150㎡でも、複数フロアにまたがって合計200㎡を超えれば申請が必要になります。


なお、2019年の建築基準法改正で、従来の「100㎡超」から「200㎡超」に緩和されましたが、神戸市内の既存物件では旧基準で建てられたものも多く、建築士への事前確認は必須です。



申請不要のケースもある


用途変更でも、確認申請が不要になるケースがあります。


類似用途間の変更の場合です。建築基準法施行令第137条の19に定められた「類似の用途」の範囲内であれば、申請は原則不要です。主な例を挙げます。


  • 劇場 ↔ 映画館

  • 美術館 ↔ 図書館・博物館

  • ホテル ↔ 旅館

  • 診療所 ↔ 児童福祉施設


ただし「似ているから大丈夫」という判断は危険です。必ず建築士に確認してください。判断を誤るとオーナーが責任を問われます。



貸主(オーナー)が特に注意すべきポイント


用途変更の申請義務は建物所有者(貸主)にあります。テナント側が「自分でやる」と言っても、法的責任はオーナーが負います。以下の点を必ず押さえてください。


① 検査済証の有無を確認する

用途変更の確認申請には、建物の検査済証が必要です。古い物件では検査済証が紛失・未取得のケースがあり、その場合は別途「建物の法適合確認」という手続きが必要になり、費用も期間も大幅に増えます。

まず手元に検査済証があるかどうかを確認しましょう。


② 用途変更はテナント工事前に完了させる

申請と審査には1〜2ヶ月程度かかることがあります。テナントが内装工事を先に始めてしまうと、後から「申請が通らない」「工事のやり直しが必要」という事態になりかねません。契約前または契約と同時に動き始めることが重要です。


③ 賃貸借契約書に用途変更の取り扱いを明記する

「誰が申請するか」「費用負担はどちらか」「申請が通らなかった場合の取り扱い」を契約書の特約条項として明記しておくことで、後日のトラブルを防げます。



具体的な用途変更の事例


実務でよくあるパターンをまとめました。

変更前の用途

変更後の用途

申請の要否

事務所

飲食店・レストラン

必要(200㎡超の場合)

事務所

物販店

必要(200㎡超の場合)

食品スーパー

介護施設

必要(200㎡超の場合)

コンビニ

牛丼屋

必要(200㎡超の場合)

物販店

事務所

不要(特殊建築物以外への変更)

美術館

図書館

不要(類似用途)


「コンビニ → 牛丼屋」は一見似ていますが、類似用途には該当しないため申請が必要です。ここを間違えるオーナーが非常に多いので注意してください。



用途変更の申請費用と期間の目安


用途変更の確認申請は、一級建築士または二級建築士しか行えません。作業量が多く、専門的な知識が必要なため、費用もそれなりにかかります。


費用の目安:50万円〜150万円程度(建物の規模・用途・地域によって異なります)

期間の目安:申請から完了まで1〜2ヶ月(書類準備期間は別途)


これに加えて内装工事費用も発生するため、資金計画は余裕を持って立てておく必要があります。


テナントと交渉する際は、入居までのスケジュールに申請期間を組み込むことを忘れないようにしましょう。



用途変更をしなかった場合の罰則


確認申請が必要にもかかわらず無申請で使用を開始した場合、建築基準法第98条により、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。


罰則の対象は建物所有者(オーナー)だけでなく、テナントも含まれます。しかし現実的には、建物の法的管理責任はオーナーにあるため、最終的なリスクを負うのは貸主です。


また行政から是正指導を受けた場合、テナントから「営業ができない」として損害賠償を請求されるリスクも生じます。



契約前に確認すべきオーナーのチェックリスト


以下を契約前に必ず確認してください。


  • ✅ 新築時の用途(建築確認申請書・検査済証で確認)

  • ✅ テナントが希望する用途が特殊建築物に該当するか

  • ✅ 用途変更対象部分の床面積が200㎡を超えるか

  • ✅ 検査済証が手元にあるか

  • ✅ 申請が必要な場合、担当する建築士を手配しているか

  • ✅ 申請費用の負担について契約書に記載しているか

  • ✅ 申請期間を踏まえた入居スケジュールになっているか


1つでも未確認のまま契約を進めると、後からトラブルになる可能性があります。



まとめ



用途変更は「テナントの問題」ではなく、オーナーが主体的に動くべき法的手続きです。


「知らなかった」では済まされない罰則もあるため、テナントが入れ替わるタイミングで必ず建築士に相談することを習慣にしましょう。


ダイヤモンドコンサルティングでは、神戸市内のテナント物件の管理・賃貸仲介をお手伝いするなかで、用途変更が必要なケースのご相談・建築士へのつなぎ込みも対応しています。


「うちの物件は大丈夫?」という確認だけでもお気軽にご相談ください。




石田 敦也(いしだ あつや) 有限会社ダイヤモンドコンサルティング 代表

神戸を拠点に、不動産業界で30年以上の実務経験を重ねてきました。賃貸管理をベースに、相続・税務最適化・資産承継といったご相談をワンストップでお引き受けしています。

【保有資格】 宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/相続診断士

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