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AIで不動産会社の違いがなくなっていく。生き残るのは、対話・相談・現場力のある会社です

執筆者の写真: 石田敦也
石田敦也
3 時間前
読了時間: 5分
これからの不動産管理会社対話・相談・現場力のある会社です

先日、ネットで「AIが突き崩す『不動産価格の壁』」という記事を読みました。


定価のない不動産の世界で、AIが過去の取引や周辺の物件、広さなどをもとに、「なぜその価格になるのか」を示す適正価格を出せるようになってきた、という内容です。


記事によると、GAテクノロジーズは直近3年で1,000万件分のデータを分析しています。また、TERASSでは、類似物件の比較が半日から5分に縮まったそうです。


結論から言います。 AIによって、不動産会社の仕事の多くが「誰がやっても同じ」になり、会社ごとの違いが消えていきます。パソコンとAIで業務を処理するだけの会社は淘汰され、対話・相談・現場力のある会社が残る。私は、そう見ています。



価格だけでなく、仕事のあちこちで「均一化」が起きている



記事で取り上げられていたのは価格の話でしたが、同じことは、不動産会社のほかの仕事でも起きています。


相場の査定、書類づくり、台帳への入力、報告書の作成。どれも、同じAIを使えば、どの会社でも同じ速さ、同じ品質でできるようになってきました。


私自身も、送金明細書、管理報告書、家賃台帳への入金の転記、物件図面の作成などを、AIで自動化してきました。使ってみて分かるのは、これは誰でも同じようにできることだ、ということです。


プロでも素人でも、相場の見立てに能力の差がつかなくなる。 大家さんから見れば、「どこに頼んでも、出てくるものは同じ」になっていきます。


AIを使うこと自体は、もう差になりません。使わない会社は遅れますが、使うだけの会社も、残れません。



机の上で処理する会社から、淘汰されていく



出てくるものが同じなら、大家さんは安いほうを選びます。処理の値段は下がり続け、やがて限りなく無料に近づいていきます。


家賃を集めて、台帳に入力して、送金する。その部分だけに管理料を払っているなら、一度、何の対価なのかを見直してみてもいいと思います。


パソコンとAIで業務を処理することが売り物の会社は、その売り物の値段が下がるので、成り立たなくなっていきます。私は、淘汰はもう始まっていると見ています。



生き残るのは、対話・相談・現場力のある会社



では、何が残るのか。私は、次の三つだと考えています。


  • 対話。 入居者さんやオーナーさんの話を、実際に聞くこと。退去の本当の理由や困りごとは、数字には出てきません。

  • 相談。 相場が分かったあとの判断に付き合うこと。価格は「答え」ではなく、判断の「前提」になりました。

  • 現場力。 現地に行って、自分の目で見て、確かめること。何も起きていないときも、です。紙にもAIにも載っていない情報は、現場にしかありません。


相談の例が、ネットの記事にもありました。子どもを通わせたい学区に住むために、相場よりかなり高い価格で買おうとしていたご家族に、エージェントが別の選択肢を示しました。そのご家族は、別の地区で適正な価格の物件を買ったそうです。


AIの出した数字は、判断の材料です。判断そのものをAIに任せてしまうと、大家さんの事情が抜け落ちた答えが返ってきます。


AIが得意なのは、比べる事例がたくさんある平均的な物件です。


古い戸建てや広い土地は、同じ条件の事例がほとんどないので、AIの数字は幅が大きくなります。


地中に埋まっている配管もそうです。他人の敷地を通っていないか、現地と図面が違うこともあります。掘って、役所や近隣に確認して、はじめて分かることで、その結果によって、売れる価格も、売れるかどうかも変わります。


相続したアパートも同じです。入居者がいる、建物が古い、境界がはっきりしない、相続人が複数いる。建て替えるのか、売るのか、持ち続けるのか。相続人間で対話が必要なことも多いです。


こういう物件ほど、AIの処理だけでは解決できない問題もたくさんあります。


水漏れや予期せぬ設備の故障のような緊急のとき、電話を受けて業者を手配するだけの会社と、現地で状況を見る会社では、大家さんが受け取るものがまったく違います。現場を見ている人は、業者の見積もりが妥当かどうかも判断できます。


つまり、現場に来てくれることは、大家さんのお金を守ることでもあるのです。


そして、現場に行く意味は、何かが起きたときだけではありません。


何も起きていないときに行くことにも、意味があります。


私も、管理している物件を定期的に巡回しています。共用部の汚れ、郵便受けにたまったチラシ、外壁や雨どいの小さな傷みなど、データにならない変化は、行ってみないと分かりません。


大きなトラブルになる前に手を打てますし、入居者さんと顔を合わせて、ひと言話せる機会にもなります。「問題ありませんでした」と確認すること自体が、オーナーさんにとっての安心になります。



最後に、私自身への戒めとして



実は、これは私自身への戒めでもあります。私も含めて、この仕事をしている人は、事務所のパソコンの前で業務を完結させてしまいがちです。


AIや自動化が進むほど、机の上だけで仕事が終わるようになります。だからこそ、現場に行って自分の目で確かめることを、肝に銘じたいと思っています。


大家さんも、いまお付き合いのある不動産屋・管理会社に、一つだけ聞いてみてください。


「次に水漏れが起きたとき、誰が現場に来てくれますか?」


「業者を手配します」だけの答えなら、それはこれから自動化されていく仕事です。「入居者からヒアリングして状況を確認し、緊急時は私が行きます」と返ってくるなら、その会社には、これからも払う価値があります。



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