自分の土地なのに、車が置けなくなる?「うちは広い」と喜んでいたお客様に伝えたかったこと

【結論】 家の前の道がせまい土地では、書類の上では自分の土地なのに、自由に使えない場所があります。道路側のはしっこの部分です。 いまは車や自転車を置けていても、そこはいつか道になる場所です。「うちは広い」と数えてしまうと、あとでがっかりすることになります。 |

「うちの土地は、よそより広いんです」
先日、売却相談で灘区のお客様のお宅にうかがったときのことです。お客様はうれしそうに、こう話してくださいました。「うちの土地は、まわりの家より広いんですよ」。
たしかに、書類に書いてある土地の広さは、近所の家より大きめでした。家の前には広い空きスペースがあって、そこに車と自転車が置いてあります。お客様は、この場所はこれからもずっと、自分の好きに使えるものだと思っていました。
でも、その空きスペースの道路側の部分は、自分の土地なのに、自由に使えない場所だったのです。
自分の土地なのに、自由に使えない場所とは
昔からある住宅地には、車がすれ違うのも大変なくらい、せまい道がたくさん残っています。せまい道のままだと、火事や急病のときに消防車や救急車が入れません。
そこで、家を建てたり建て替えたりするときに、道路側を少しずつ空けて、みんなで道を広げていくという決まりがあります。いっぺんに道を広げることはできないので、一軒ずつ、建て替えのたびに少しずつ直していくのです。
このとき空けた部分は、書類の上ではあなたの土地のままです。土地の広さにも入っています。でも、そこは「いつか道になる場所」なので、塀や門を作ったり、ずっと物を置いておいたりすることはできません。
お客様の家も、建てたときにこの部分を空けて、奥に下がって建てられていました。だから家の前に広い空きスペースがあるように見えて、「うちは広い」と感じていたのです。
いまは、まわりの家がまだ建て替わっていないので、道はせまいままです。だから車や自転車を置いても、困る人はいません。でも、まわりの家が一軒、また一軒と建て替わっていくと、道はだんだん広くなっていきます。そのとき、あなたが車を置いていた場所は、道の一部として使われるようになります。
つまり、自分の土地なのに、自分の土地ではないのと同じになっていく。これが、今日いちばんお伝えしたいことです。
契約のとき、説明はちゃんとされていた
お客様にお願いして、買ったときの重要事項説明書(契約の前に不動産会社が読み上げて説明する、大事な書類)を見せていただきました。そこには、この場所についての資料がきちんと付いていました。売った不動産会社は、説明すべきことをちゃんと説明していたのです。
それでも、お客様の頭には残っていませんでした。でも私は、それが当然だと思います。慣れない会議室で、何十ページもある書類を、聞いたこともない言葉で次々と説明される。その中のほんの数分の話です。大半の人は、聞き流してしまうはずです。
お客様が悪いのでも、不動産会社が悪いのでもありません。説明されても伝わりにくい。そういう仕組みになっているのです。だからこそ、この記事では難しい言葉を使わずに書くことにしました。
自分の土地にこの場所があるか、確かめるには
1.家の前の道の広さを見る
車がすれ違うのも難しいくらいせまい道(幅がおよそ4メートルより狭い道)に面しているなら、この場所がある可能性があります。
2.買ったときの書類を開いてみる
重要事項説明書の、道路について書かれた欄と、付いている図面を見てください。土地のはしに線が引いてあったり、「〇〇メートル下がる」といった書き込みがあったりしたら、そこが自由に使えない場所です。
3.分からなければ、聞く
書類を見ても分からないのが普通です。買ったときの不動産会社に「うちの土地に、いつか道になる場所はありますか」と聞いてみてください。その一言で十分です。
よくある質問(Q&A)
Q.いま車を置いていますが、すぐにどかさないといけませんか?
A.通る人や車の邪魔になっていなければ、すぐに問題になることは少ないのが実情です。ただ、まわりの家が建て替わって道が広がっていくと、その場所は道として使われるようになります。ずっと置ける場所とは考えないでください。
Q.その場所に、塀や門、花壇を作ってもいいですか?
A.作れません。いつか道になる場所なので、塀や門、花壇のような動かせないものは置けない決まりです。新しく作るときは、その場所より奥に作る必要があります。
Q.自分の土地にこの場所があるか、どうやって分かりますか?
A.家の前の道が狭く、車がすれ違うのも難しいくらい(幅4メートルより狭い)なら、可能性があります。買ったときの重要事項説明書の道路について書かれた欄を見るか、買ったときの不動産会社に聞いてください。
ちなみに、こういう場所のことを、専門用語では「セットバック」と呼びます。契約の書類でこの言葉を見かけたら、この記事のことを思い出してください。
石田敦也/ダイヤモンドコンサルティング
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・相続診断士
対応エリア:神戸市・芦屋市・西宮市



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