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角地なのに建ぺい率アップは嘘!?土地の契約前に建築士へ相談しないと大損する理由

  • 執筆者の写真: 石田敦也
    石田敦也
  • 6月15日
  • 読了時間: 6分

神戸市北区‖鈴蘭台駅前

不動産売却のダイヤモンドコンサルティング



「この土地、角地だから建ぺい率が10%アップして、通常より大きな家が建てられますよ!」


もしあなたが自由設計のマイホームを目指して土地を探しているとき、不動産屋からこう言われたら、どう思いますか?


「それなら希望の間取りが入りそうだ」と嬉しくなって、すぐに契約書に判を押したくなるかもしれません。しかし、ここに巨万の落とし穴が潜んでいます。


結論から申し上げます。街で見かける「角地」のすべてが、建ぺい率が緩和されて広い家を建てられるわけではありません。そして恐ろしいことに、当の不動産屋自身がその事実を正しく理解していないケースが日常的に存在します。


「素人目線で『場所が良いから』『角地だから』と飛びついて契約するのは絶対にタブーである」理由を、私が数年前に犯してしまった、冷や汗の止まらなかった実話をもとに解説します。


角地緩和

1. 「角地=10%アップ」はプロの思い込み。私が犯した大失態


建築基準法(第53条第3項第2号)には、「特定行政庁が指定する角地等にあっては、建ぺい率を1割加算する」という旨が定められています。


宅地建物取引士の試験をパスした人間であれば、「角地は建ぺい率が10%緩和される」というのは基本中の基本として頭に叩き込まれています。私自身もそう記憶していましたし、それが間違いだとは微塵も思っていませんでした。


数年前、私が神戸の山手エリアで約120坪の立派な土地の仲介を担当したときのことです。その土地は見事な「角地」でした。


買主様は、購入後すぐにこだわりの注文住宅を建築する予定でした。契約前に建築士の先生へ土地の情報を共有し、簡易的なプランと予算を確認した上で、条件交渉もスムーズに進み、無事に売買契約を締結しました。


当然、私が作成した重要事項説明書には、自信満々に「角地緩和適用:建ぺい率10%アップ」と記載していました。


しかし、契約完了の直後、建築士の先生から衝撃の一言が放たれたのです。

「石田さん、ここ角地緩和使えないよ。建ぺい率は50%のままだからね」


頭の中が真っ白になりました。重要事項説明書の記載ミスは、不動産業者としての信頼を失墜させるだけでなく、場合によっては損害賠償問題に発展する致命的なエラーです。


「損害保険(重説保険)を使わなければならないかもしれない、、、」最悪の事態が脳裏をよぎりました。



2. なぜ「角地」なのに緩和されなかったのか?知られざる盲点


建築士の先生に理由を尋ねると、地方自治体(特定行政庁)が定める非常に細かい要件が障壁となっていました。


実は神戸市の場合、一定面積以上の土地においては、「接している2つの道路の幅員の合計」がクリアできていなければ、いくら見た目が角地であっても緩和を受けられないというルールが存在するのです。


【神戸市における建ぺい率の角地緩和基準(抜粋)】

  • 敷地面積 300㎡以下(約90坪以下): 必要な道路幅員はそれぞれ4m以上(合計要件は特になし)

  • 敷地面積 300㎡超〜2000㎡以下: 必要な道路幅員はそれぞれ4m以上、かつ【2つの道路の幅員の合計が12m以上】


私が仲介した物件は120坪(約396㎡)だったため、上記表の「300㎡超」に該当していました。そして、接していた2つの道路の幅員は、一方が6m、もう一方が4.5m。合計で「10.5m」しかなかったのです。


要件である「12m以上」にわずか1.5m足りず、角地緩和の対象外。つまり、建ぺい率は60%ではなく50%のまま、という事実を私は完全に見落としていたのです。


神戸市建ぺい率の角地緩和詳細は、下記のとおりです。

角地緩和

3. 不動産屋の建築知識は「浅い」という厳然たる事実


この事例から、これから土地を買う方が絶対に知っておくべき教訓は、「不動産屋は取引のプロであって、建築のプロではない」ということです。


私たち宅地建物取引士は、法律や契約、相場に関しては専門的な知識を持っています。


しかし、建築基準法や各自治体が定める細かな建築条例(がけ条例や風致地区、今回のような複雑な緩和要件など)のすべてを完全にマスターし、間取りにどう影響するかまで見通すことは極めて困難です。


悪意がなくても、一般的な不動産屋は「角地=10%アップ」という教科書通りの一般論で話を進めてしまいます。


「場所が良いから」「人気エリアの角地だから急がないと他人に取られる」という素人目線の直感と、不動産屋の浅い知識だけで数千万円の契約を結ぶことが、いかにギャンブルであるかをご理解いただけるでしょうか。


今回、私のケースでは幸いにも、買主様が「そこまでギリギリに大きい家を建てる予定はないから、大丈夫だよ!」と笑って許してくださいました。契約前に建築士の先生がしっかりと買主様と打ち合わせを重ね、予算とゆとりのあるプランをあらかじめ共有してくれていたからこそ、首の皮一枚で救われたのです。


もしこれが、「建ぺい率60%をフルに使わなければ希望の部屋数が確保できない」という極限の設計だったら、契約解除、あるいは建築不能による巨額の損害賠償に発展していたことは間違いありません。



4. 注文住宅で失敗しないための唯一の防衛策


自由設計でこだわりの家を建てたい方が、このような悲劇を未然に防ぐための防衛策はただ一つです。


「土地の契約書に判を押す前に、必ず『建築士』にプランを入れてもらうこと」


「場所が良いからとりあえずキープして、建築会社は後から選ぼう」は絶対にタブーです。気になる土地が見つかったら、契約を進める前に必ず、信頼できる建築士やハウスメーカーの設計士を現地に連れていき、以下を確認してもらってください。


  • 本当に希望する延床面積や間取りが、法規制をクリアして収まるか

  • 不動産屋が主張する「緩和要件」が、現地法規(自治体の条例)と照らし合わせて本当に適用されるか

  • 高低差や擁壁(ようへき)、インフラ引き込みなど、建築側で予期せぬ追加コストが発生しないか


建築士の先生に事前に目を通してもらうだけで、不動産屋の知識不足による見落としや、目に見えない法規制の罠を100%シャットアウトすることができます。



5. まとめ:プロを過信せず、役割の異なる専門家を巻き込む


今回の件は、私にとって「日々勉強を怠らないこと」、そして「契約前に各専門家に必ず確認をとること」を血肉に刻む極めて重要な教訓となりました。


不動産取引において、100%完璧な人間はいません。だからこそ、これからマイホームを建てる皆様には、不動産屋の「大丈夫」を鵜呑みにせず、最初から建築士という心強い味方をチームに巻き込んで土地探しをしていただきたいのです。


ダイヤモンドコンサルティングでは、単に土地を仲介するだけでなく、お客様が「本当に建てたい家」を安全に建てられるよう、建築士や各専門家と密に連携した取引を徹底しています。


神戸市・芦屋市・西宮市周辺で、「失敗しない土地選び」をご希望の方は、ぜひ私たちの過去の経験(失敗も含めて)を役立ててください。


【著者プロフィール】 石田 敦也(いしだ あつや) 有限会社ダイヤモンドコンサルティング 代表取締役。神戸市北区鈴蘭台を拠点に、不動産売却・相続一筋30年以上のキャリアを持つ。宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、相続診断士。

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