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クロスは6年で計算。じゃあ襖・畳・鍵は?原状回復で減価償却しなくていいもの

  • 執筆者の写真: 石田敦也
    石田敦也
  • 5 時間前
  • 読了時間: 5分
原状回復で減価償却しなくていいもの」


以前、当社ブログで「クロスの減価償却計算方法」について書いたところ、思いのほか多くの方に読んでいただきました。

 

▼参考記事

 

 

では、こんなケースはどうなのか?

 

「じゃあ畳の表替えも6年で計算するの?」

 

「襖や障子は?」

 

「鍵交換は減価償却するの?」

 

という疑問を持たれた方も多いと思います。

 

 

結論からお伝えしますね。

 

 

畳表替・襖・障子・鍵・フローリングの部分補修は、減価償却(経過年数)を考えなくていい項目です。

 

 

クロスのように「6年で1円になる直線」をひいて、残り何年分かを計算する必要はありません。

 

 

「えっ、そうなの?」と思った方もいらっしゃると思うので、今日はその根拠と、実務での注意点をまとめてみます。



 


◎ そもそも、なぜクロスは減価償却を考えるのか

 

 

クロスや設備機器(エアコン、流し台など)は、新品から年数が経つほど価値が下がっていきます。

 

 

国交省のガイドラインでは、この「価値の減り方」を直線で表して、

 

6年で残存価値1円

 

になるイメージで、借主さんの負担割合を計算するように決められています。

 

 

「クロスの減価償却計算方法」の記事で書いたとおり、

 

「貼替えてから4年経ったクロスを汚した → 残り2年分(2/6)の価値しかないので、その分だけ請求」

 

という考え方ですね。

 

 

ところが、内装材すべてがこの計算式にはまるわけではないんです。



 


◎ 「減価償却を考えない」項目があるのはなぜか

 

 

ガイドラインの該当箇所には、襖紙・障子紙・畳表について「消耗品としての性格が強い」ため、減価償却で割り引いて考えることにはなじまない、と書かれています。

 

 

要するに、

 

「もともと消耗品なんだから、減価償却で割り引くのは無理がある」

 

ということです。

 

 

考えてみると、畳表は5年くらいで表替えしますし、襖紙や障子紙はそれ以上に張替え頻度が短い。新築時の価値というものを想定しにくいですよね。





◎ 襖・障子(紙の張替え)

 

 

襖紙と障子紙は、消耗品の代表格ですね。

 

 

借主さんが破ってしまった場合は、張替え費用の全額を請求できます。

 

「3年住んでたから3/6しか請求できません」みたいな計算は不要です。

 

 

ただし、日焼けによる変色は経年劣化(自然損耗)なので、こちらは貸主さん負担。

 

 

ここの線引きは「故意か過失か」です。

 

 

お子さんが障子に穴を開けた、ペットが爪で引っ掻いた、こういうケースは借主さん負担。日光で黄ばんだだけなら貸主さん負担になります。



 


◎ 畳表(畳表替え)

 

 

畳表も、襖紙・障子紙と同じく消耗品扱いです。

 

 

借主さんがジュースをこぼしてシミになった、家具を引きずって畳表が破れた、こういうケースでは表替え費用を経過年数を考えずに請求できます。

 

 

「畳表替え」というのは、畳の表面(イ草の部分)だけを新しく張り替える作業のことです。畳の芯材(畳床)はそのまま使うので、新調するより費用は抑えられます。

 

 

こちらも、日焼けによる変色は貸主さん負担になります。





◎ 鍵の紛失(シリンダー交換)

 

 

借主さんが鍵を紛失した場合のシリンダー交換費用は、経過年数を考慮せず、全額借主さん負担です。

 

 

ただし注意点があって、

 

「次の入居者のために大家さんの判断で鍵を交換する」場合は、貸主さん負担になります(破損や紛失がない場合)。

 

 

つまり、

 

・借主の紛失・破損による交換 → 借主負担(全額)

 

・大家の判断による定期交換 → 貸主負担

 

 

ここを混同して、退去時に何でもかんでも借主さんに請求してしまうと、トラブルの種になります。





◎ フローリングの部分補修

 

 

フローリングを部分的に補修する場合、これも経過年数を考慮せず請求できます。

 

 

理由は、部分補修したからといってフローリング全体の価値が上がるわけではないからです。

 

 

キャスター付き椅子の周辺のキズや凹みを補修した、というようなケースでは、その費用は借主さん負担になります。





◎ ここが落とし穴:「減価償却しない」=「全額請求OK」ではない

 

 

ここまで読んで、

 

「じゃあ畳・襖・障子・鍵は何でも全額請求できるんだ!」

 

と思われた方、ちょっと待ってください。

 

 

減価償却を考えなくていい、ということと、全額請求できる、ということは、別の話です。

 

 

すべての大前提として、

 

借主さんに故意・過失(または善管注意義務違反)があること

 

が必要になります。

 

 

例えば、

 

・畳表が日焼けしただけ → 貸主負担

 

・襖紙が経年で黄ばんだだけ → 貸主負担

 

・鍵が経年で動きが悪くなった → 貸主負担

 

 

これらは借主さんに責任がないので、そもそも請求できません。

 


僕が現場で見てきた中で、ここを混同して退去トラブルに発展するケースが本当に多いんです。

 

 

「減価償却を考えなくていい項目」=「自然損耗まで請求していい項目」ではない。

 

 

ここだけは押さえておいてください。





◎ 退去精算で揉めないために

 

 

退去時の精算明細では、項目ごとに「経過年数を考慮するか/しないか」を分けて記載しておくのがオススメです。

 

 

借主さんから「クロスは年数で割り引いてくれたのに、なんで畳は満額なの?」と聞かれたときに、根拠を示しながら説明できます。

 

 

可能であれば退去立会いの段階で「畳・襖・障子は消耗品扱いです」と一言添えておくと、後のトラブル予防になります。



 


◎ よくあるご質問

 

 

Q1. 畳の表替えは、何年住んでいても全額請求できますか?

 

借主さんの故意・過失でシミや破れができた場合は、入居年数に関係なく表替え費用を請求できます。ただし日焼けによる変色は経年劣化なので貸主負担です。

 

 

Q2. 鍵交換費用は、退去時に必ず借主負担になりますか?

 

いいえ。借主さんが紛失・破損した場合は全額借主負担ですが、大家さんが「次の入居者のため」に行う通常の鍵交換は貸主負担です。

 

 

Q3. フローリング全体を張り替える場合も、借主に全額請求できますか?

 

全面張替えの場合は経過年数(耐用年数)を考慮するのが原則です。今回ご紹介した「部分補修なら経過年数考慮なし」のルールとは別の扱いになりますので、ご注意ください。

 

 

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この記事を書いた人

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石田敦也/有限会社ダイヤモンドコンサルティング

 

宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・相続診断士

 

 

神戸市・芦屋市・西宮市エリアで、賃貸管理・不動産売買・相続相談を行っています。

 

 

退去時の原状回復精算は、減価償却の計算や項目ごとの判断が複雑です。

 

判断に迷ったときは、経験豊富な賃貸管理会社にご相談ください。

 

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