マンション修繕費が高騰する本当の理由と対策
- 石田敦也

- 2 日前
- 読了時間: 3分

物価高・人件費高騰時代のマンション修繕
― 定期修繕に縛られず、柔軟な発想でこの危機を乗り切る ―
近年、マンションの修繕を取り巻く環境は大きく変わりました。資材価格の高騰、職人不足による人件費上昇により、大規模修繕工事の見積額は、数年前と比べて1.5倍から2倍になるケースも珍しくありません。
この状況を受けて、「修繕積立金が足りない」「管理費を上げないと工事ができない」といった声が、各地の管理組合で聞かれるようになっています。
しかし、この問題を「危機」だけで終わらせる必要はないと僕は考えています。
■ 問題の本質は「工事費」だけではない
確かに、物価高や人件費高騰は避けられない外部要因です。ただ、それ以上に影響しているのが、
ゼネコン主導の定期修繕スケジュール
「〇年ごとに必ずやる」という前例踏襲
安全側に倒しすぎた過剰修繕
といった、日本特有の管理体制です。
分譲マンションでは、「やらないリスク」を恐れるあまり、“今やらなくてもいい工事”まで前倒しで実施してきた側面があります。
結果として、景気や家計の状況に関係なく、高額な修繕費を一気に負担する構造ができあがってしまいました。
■ 定期修繕=絶対、ではない
本来、建物の修繕は年数ではなく「状態」で判断すべきものです。
実際、賃貸物件の管理現場では、
雨漏りがない
腐食が進行していない
機能面に問題がない
といった状態であれば、外壁塗装や大規模修繕のサイクルを5年、場合によっては10年まで延ばすケースもあります。
これは手抜きではありません。状態を確認した上での、合理的な判断です。
■ 今は「無理にやらない」選択も立派な戦略
特に現在は、
戦争や地政学リスク
コロナ後のサプライチェーン混乱
インフレの加速
と、工事をするには明らかに条件が悪い時期です。
このタイミングで無理に修繕を行えば、
高値づかみになりやすい
住民負担が急増する
合意形成が難航する
といった問題が生じます。
だからこそ今は、
「できるだけ延ばす」
「部分補修でしのぐ」
「本当に必要な工事けを選ぶ」
という柔軟な計画が重要になります。
■ 柔軟な修繕計画が、住民の安心につながる
修繕計画を見直すことは、単なるコスト削減ではありません。
急激な管理費・積立金の値上げを防ぐ
住民の不安や対立を減らす
長期的な資産価値を守る
という意味で、結果的にマンション全体を安定させる効果があります。
住民の多くは、「修繕そのもの」ではなく、「なぜ今この金額なのか分からない」ことに不安を感じています。
計画を柔軟にし、選択肢を示すことで、納得感は大きく変わります。
■ 技術革新は、追い風になる
長期的に見れば、
高耐久材料の普及
点検技術の進化
部分補修の高度化
など、修繕技術は確実に進歩しています。
10年後、20年後の修繕は、今よりも賢く、効率的に行える可能性が高いのです。
だからこそ、
「今すぐ全部やらないといけない」という発想から一度離れ、時間を味方につける判断も必要だと思います。
■ まとめ:危機は、考え方次第でチャンスになる
マンション修繕を取り巻く環境は確かに厳しくなっています。しかし、
定期修繕に縛られず
状態を見極め
景気に合わせて計画を調整する
ことで、この局面は十分に乗り切れます。
完璧を目指すのではなく、現実的に「持続可能な管理」を選ぶこと。
それこそが、これからの時代に合ったマンション管理の姿ではないでしょうか。





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