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仮換地でも不動産は売れます ― 阪神・淡路大震災の現場と、香櫨園駅北側の仲介実例から

  • 執筆者の写真: 石田敦也
    石田敦也
  • 13 時間前
  • 読了時間: 5分
仮換地でも不動産は売れます


「仮換地指定通知書が届いたけれど、この土地、売れるんだろうか」

地震や洪水のあと、土地区画整理事業の区域に入った土地をお持ちの方から、こうしたご不安の声をよく耳にします。登記簿の土地と、実際に使える土地の場所や形が違う。面積も減っている。こんな宙ぶらりんの状態で、本当に買主が見つかるのか――。


結論から申し上げます。仮換地の状態でも、売買はきちんとできます。 実際に私は、西宮市・香櫨園駅の北側にある仮換地指定を受けた物件を仲介し、無事に取引を完了させています。今日はその経験をもとに、仮換地の売買の流れをご説明します。



阪神・淡路大震災で見た、土地区画整理のはじまり


私は阪神・淡路大震災のとき、三宮の支店に勤務していました。震災直後は、家を失った方に仮住まいをご紹介するのが毎日の業務でした。寒くて不衛生な環境のなかで働いていたことを、今でも思い出します。


半年を過ぎる頃から行政が正常に機能しはじめ、道幅の狭い地域では土地区画整理事業が動き出しました。建て替えを検討する人、他の地域へ引っ越していく人、さまざまでした。家が潰れたあとの土地がそのまま使えるわけではないので、皆さん本当に大変な思いをされていました。


土地区画整理事業とは、道路や公園などの公共施設を整備しながら、土地を再配置して街全体を整える事業です。そこでは個人の主張はなかなか通りません。だからこそ、区域内の土地をお持ちの方には「制度の中でどう動けばよいか」を知っていただくことが、何よりの安心材料になると考えています。



仮換地指定通知書が届いたら


土地区画整理事業では、まず施行者(役所など)がその街区の青写真をつくり、道路や公園の配置を決めます。そこへ個人の土地を、従前の土地に近い状態でパズルのように埋めていきます。


新しく道路や公園をつくるのですから、お持ちの土地は削られて狭くなります。これを「減歩(げんぶ)」といいます。そして新しい配置が決まると、「仮換地指定通知書」が送られてきます。


この通知書には、従前地(もともとの土地)と、新しく配置された仮換地の面積・位置・地図などが記載されています。売買は、この通知書をもとにスタートできます。換地処分が終わるまで何年も待つ必要はありません。



香櫨園駅北側の物件で、実際にこう進めました


私が仲介した香櫨園駅北側の物件も、仮換地指定を受けた土地でした。ポイントは一つです。


所有権移転登記は、換地処分までは従前地について行われます。

仮換地の段階では、登記簿はまだ従前地のままです。そこで契約書では登記簿謄本と仮換地指定通知書の両方で物件を表示し、買主には仮換地図を取得して「将来この土地がどうなるか」を丁寧に説明しました。ここを最初にきちんと押さえておけば、トラブルは起こりません。


契約には、次のような特約事項を追加します。

  1. 本物件は土地区画整理事業の施行地区内にあること

  2. 物件の表示は、登記簿謄本および仮換地指定通知書によって行うこと

  3. 換地処分の結果、換地の位置・形状・面積等が従前地および仮換地と相違することがあること

  4. 清算金(交付または徴収)が生じた場合に、売主・買主どちらの帰属・負担とするか


とくに4番の清算金は見落とされがちです。換地処分の際、減歩や土地の評価の過不足を金銭で調整する仕組みがあり、受け取る場合(交付)も支払う場合(徴収)もあります。契約時にどちらの帰属にするかを決めておかないと、何年も先に揉める火種になります。



売買の流れは、この3ステップ


まとめると、土地区画整理事業区域内の土地の売買は次の流れです。


  1. 仮換地指定通知書で、完成後の土地の概要を確認する

  2. 双方合意のもと契約を締結し、従前地で所有権移転を完了させる

  3. 換地処分後、清算金の受け取り・支払いを行う


これで無事に取引終了です。



むしろ、資産価値は上がることが多い


不安に思われている売主さんにこそお伝えしたいのですが、換地後の土地は道路がきれいに整備され、測量もきちんと行われています。整形地になり、境界も確定する。資産価値は通常、上がります。


震災や水害のあとに区画整理の区域に入ったことを「不運」と感じておられる方は多いのですが、長い目で見れば、街全体と一緒にご自身の土地の価値も再生していく過程だと捉えていただければと思います。


繰り返しになりますが、頭に入れておいていただきたいのは一点だけ。所有権移転登記は、換地処分までは従前地について行われる、ということです。



弊社の関わり方について


ダイヤモンドコンサルティングでは、仮換地・換地に関わる売買のように、登記・税務・制度の理解が絡む「上流」のご相談を専門としています。相続との絡み(区画整理中の土地を相続した場合の評価や分割)、清算金の税務上の取り扱い、売却か保有かの経営判断まで含めて、取引の設計段階からお手伝いします。



この記事を書いた人

石田 敦也(いしだ あつや) ― 有限会社ダイヤモンドコンサルティング 代表

不動産業界歴30年以上。阪神・淡路大震災を三宮の現場で経験し、2001年に神戸で創業。相続対策・税務最適化・不動産経営判断

保有資格:宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/相続診断士/


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