賃貸の連帯保証人が亡くなったら家賃保証はどうなる?大家さんが知っておくべき民法改正後のルール
- 石田敦也

- 1 日前
- 読了時間: 5分
「うちの物件の連帯保証人が亡くなったらしい。これからの家賃、誰が保証してくれるの?」ー賃貸経営をしていると、いつかは直面する不安です。
実はこの問題、2020年4月1日の民法改正を境にルールが大きく変わりました。古い感覚のままだと、いざというときに判断を誤りかねません。神戸市北区で30年以上、賃貸物件のご相談を受けてきた立場から、できるだけ平易に整理してお伝えします。

結論を先にお伝えします
ポイントは2つだけ。「契約日が民法改正(2020年4月1日)の前か後か」、そして**「保証人が亡くなった時点で家賃滞納があったか」**です。
契約時期 | 保証人死亡時に滞納なし | 保証人死亡時に滞納あり |
2020年4月1日以後 | 相続人は今後の家賃に責任なし | 滞納分のみ極度額の範囲で責任あり(以後は責任なし) |
2020年3月31日以前 | 相続人が今後の家賃も引き継ぐのが原則 | 相続人が滞納分+今後の家賃も引き継ぐのが原則 |
これだけ押さえれば、おおよその見通しが立ちます。以下、なぜそうなるのかを解説します。
なぜ「2020年4月1日」が分岐点なのか
改正民法では、個人が保証人となる根保証契約には極度額(保証の上限額)を定めなければ無効というルールが新設されました(民法465条の2)。
賃貸借契約の連帯保証は、家賃滞納・原状回復費・損害賠償など、将来発生し得る不特定の債務をまとめて保証する「根保証」にあたります。そのため、改正後の契約書では「極度額:賃料の24か月分」「極度額:100万円」といった金額を必ず明記しなければなりません。書き忘れると、保証契約そのものが無効になります。
さらに改正民法は、保証人の死亡を「元本確定事由」と定めました(民法465条の4)。元本確定とは、その時点で発生している債務に保証範囲が固定されることを意味します。
つまり保証人が亡くなった瞬間、保証の対象がそこで線引きされ、それ以降に発生する債務は保証の対象外になる――という仕組みです。
逆に2020年3月以前の旧民法には、この元本確定の規定がありませんでした。そのため最高裁昭和37年11月9日判決の流れを汲む解釈として、保証人の死亡後に発生した滞納家賃も相続人に承継されるのが原則となります。古い契約ほど大家さんに有利、と言えるかもしれません。
ケース別に見る相続人の責任
ケース1:2020年4月以後の契約・滞納なしで保証人が死亡
相続人は今後の滞納家賃に責任を負いません。大家さんとしては新たな保証手段(保証会社・追加の連帯保証人)を確保する必要があります。気づかないまま放置すると、無保証状態で賃貸を続けることになります。
ケース2:2020年4月以後の契約・滞納ありで保証人が死亡
死亡時点で発生していた滞納分について、極度額の範囲内で相続人が責任を負います。極度額を超える部分や、死亡後に新たに発生した滞納分は対象外です。請求する際は、極度額が契約書のどこに記載されているかを確認しておきましょう。
ケース3:2020年3月以前の契約
旧民法ルールが適用され、死亡後の滞納家賃も相続人が引き継ぐのが原則です。ただし相続人側には相続放棄(3か月以内)や限定承認の選択肢があるため、必ず回収できるとは限りません。また極度額の定めがない契約が多いため、争いになった場合は個別事情で判断されます。
大家さんが今すぐ確認しておきたい3つのこと
第一に、既存契約の保証条項を見直すこと。2020年4月より前に締結した契約のままになっていないか、更新時に極度額条項が追加されているか、契約書を一度棚卸ししてみてください。古い契約のままだと、大家さん側の権利が曖昧なまま放置されている可能性があります。
第二に、連帯保証人の安否・連絡先を把握しておくこと。保証人が高齢の場合、亡くなっても大家さんに連絡が来ないケースが珍しくありません。年に一度は連絡先・健康状態を確認する仕組みを持っておくと、ケース1のような無保証状態を早期に発見できます。
第三に、家賃保証会社の併用を検討すること。個人の連帯保証人だけに頼る時代は、もう過ぎつつあります。保証会社を併用すれば、保証人の死亡・高齢化・離婚・転居といった人生のリスクをまるごとヘッジできます。「親族に保証人を頼みたくない」という入居者ニーズにも応えられるので、空室対策の面でも有効です。
ダイヤモンドコンサルティングがお手伝いできること
当社は神戸市北区鈴蘭台を拠点に、賃貸経営の「貸す前・貸した後」の賃貸経営支援を専門としています。
具体的には、相続発生時の賃貸物件の引き継ぎ整理、古い契約書の極度額設定アドバイス、保証会社の選定、税理士・弁護士との連携窓口といった、大家さんの経営全体を俯瞰した相談に特化しています。
なお、入居者の客付け(募集・案内)業務は大手仲介会社と連携して進めています。広告や仲介の機能を外部の専門部隊に任せることで、当社は管理戦略・相続対策・税務最適化といった川上の判断に集中できる体制をとっています。これが、地域の管理会社や仲介店とは異なる、当社の立ち位置です。
「うちの契約書、改正前のまま放置していたかも」「高齢の保証人が心配」「親から相続した物件の保証条項がよく分からない」――そんな段階のご相談こそ、お早めにどうぞ。問題が起きてからでは選択肢が狭まります。
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※本記事は2026年5月時点の法令・実務に基づき作成しています。個別事案については、契約書の内容や事実関係によって判断が変わるため、専門家にご相談ください。

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