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家賃滞納、最初の一通で関係が決まる|大家さんのための三段階督促テンプレ

  • 執筆者の写真: 石田敦也
    石田敦也
  • 12 時間前
  • 読了時間: 7分
家賃滞納|大家さんのための三段階督促テンプレ

賃貸経営をしていて、どうしても避けて通れないのが家賃滞納の対応です。

 

ここで多くの大家さんがやってしまうのが、最初から強く出てしまって、関係をこじらせてしまうこと。

 

実は、滞納対応で本当に効くのは、強さではなく順番です。

 

最初の一通の温度感、入居者の反応、最終通告の出し方。

 

この三つが揃って初めて、回収率と関係性の両方を守ることができます。

 

今回は、私自身が現場で痛い目を見た一件を入口に、すぐ使える三段階督促テンプレと、その背後にある運用設計をまとめてみました。





■ 甲南の事務所で、頭を下げに行った日

 

数年前、神戸市東灘区の甲南エリアで、介護事業を営む会社に事務所をお貸ししていたことがありました。

 

家賃保証会社をつけていたので、私の中では「滞納が出たら即、保証会社に報告」というルールを決めていました。

 

それに従って、初月の遅れが出た瞬間に、すぐ保証会社へ報告を上げたんです。

 

ところが、その翌日。

 

借主である会社の社長から、ものすごい剣幕で電話が入りました。

 

「忘れていただけだ。なぜいきなり回収業者から連絡が来るんだ。謝罪してほしい」

 

保証会社の対応自体は、マニュアル通りで、特に問題のあるものではありませんでした。

 

ただ、相手は短気な方で、自分のメンツを潰された、と受け取ったわけです。

 

結局、私は悪いことは何一つしていないのに、関係修復のためにわざわざ甲南の事務所まで出向いて、頭を下げに行くことになりました。

 

このとき、強く思ったんです。

 

正しい手続きをしているだけでは、賃貸の現場は回らない。

 

結局、順番と伝え方なんだなと。





■ なぜ「段階的な督促」が効くのか

 

人は、いきなり強く出られると防御に入ります。

 

「忘れていただけ」「振り込んだつもりだった」――こちらに非がなくても、最初から責められると素直に動けない生き物です。

 

逆に、最初に逃げ道を残したやんわりとした連絡を入れておけば、相手はメンツを保ったまま支払いに動けます。

 

それでも動かなければ、次の段階に進む。

 

この順序を踏むことで、回収率も、長く付き合える借主との関係性も、両方を守ることができ、結果、大家さんのメンタルも保てます。



 


■ そのまま使える 三段階督促テンプレ

 

【第1段階】やんわり確認(支払日から5〜7日)

 

〇〇様

 

いつもお世話になっております。

〇〇マンション管理の〇〇です。

 

今月分の賃料につきまして、現時点でご入金の確認が取れておりませんため、念のためご連絡差し上げました。

 

すでにお手続き済みの場合は、行き違いとなり大変失礼いたしました。

万が一お忘れの場合は、ご確認のうえご対応いただけますと幸いです。

 

ご不明点やご事情がございましたら、お気軽にご連絡ください。

 

▼ ポイント

責めない。「行き違い」を入れる。返事しやすい空気を作る。

 

────────────────────

 

【第2段階】意思確認(2週間の遅れ)

 

〇〇様

 

お世話になっております。〇〇です。

 

先日ご連絡いたしました賃料の件につきまして、現在もご入金の確認が取れておりません。

 

お忙しいところ恐れ入りますが、ご入金予定日についてご一報いただけますでしょうか。

 

なお、本件が未解決の場合、今後の対応についてご相談させていただく可能性がございます。

 

円滑な解決のため、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

 

▼ ポイント

予定日を聞く。軽くプレッシャーをかけつつ、まだ関係性は守る。

 

────────────────────

 

【第3段階】最終通告(1ヶ月の遅れ/保証人にも同内容を送付)

 

〇〇様

 

〇〇マンション管理の〇〇です。

 

これまで複数回にわたりご連絡差し上げておりますが、賃料のご入金およびご連絡が確認できておりません。

 

誠に遺憾ではございますが、〇月〇日までにご入金またはご連絡をいただけない場合、契約に基づき、やむを得ず法的手続きを含めた対応を検討させていただくこととなります。

 

早期解決のため、至急ご対応くださいますようお願い申し上げます。

 

▼ ポイント

期限を明確に。感情を出さず、事務的に進むことを伝える。

 

そして第3段階で重要なのは、必ず連帯保証人にも同内容を送ることです。

 

これは法的にも実務的にも大きな意味があります。保証人は「知らなかった」では責任を逃れにくくなりますし、保証人を経由して借主が動くケースも実際に多いです。

 

私の経験では、本人より、親や会社代表である保証人から先に動きがある案件は珍しくありません。





■ 保証会社への報告は「機械的に」やらない

 

冒頭の甲南の一件で痛感したことです。

 

保証会社をつけている場合、契約上は「滞納〇日で代位弁済請求」と決まっていることが多いですが、機械的に即日報告するのではなく、第1段階のやんわり連絡を入れて反応を見てから動く、くらいの「間」があった方が、現場はずっと滑らかに進みます。

 

特に法人借主や、事業所として借りている案件では、現場と本社のように賃料の支払い部署が違うケースがあります。

 

保証会社は強力な仕組みですが、使いどころを間違えると、入居者との信頼関係を一瞬で壊す力もあるんです。





■ 法的な背景も押さえておく

 

家賃滞納で契約解除や明渡しを進める場合、判例上は「信頼関係の破壊」が必要で、その目安はおおむね3ヶ月以上の滞納とされています。

 

第3段階の督促はその手前のフェーズで、ここから先に進む場合は、内容証明郵便の送付 → 建物明渡訴訟 → 強制執行、という流れになります。

 

また、滞納家賃の消滅時効は、民法改正後5年です。

 

「いつかまとめて請求しよう」と長く放置していると、時効で回収不能になる金額が出てきます。

 

結局のところ、早めの段階管理こそが、損失を防ぐ一番の方法なんです。





■ 運用ルールにしてしまうのが、一番楽

 

文章だけ整えても、運用がブレては意味がありません。

 

私の場合は、支払日から5〜7日で第1段階、2週間で第2段階、1ヶ月で第3段階という日数ルールを基本にしています。

 

感情ではなく、日数で動く。

 

これだけで判断のブレがなくなり、督促という精神的に重い作業の負担がぐっと減ります。

 

そして、すべての連絡履歴を必ずデータで残す。

 

これが、万が一の訴訟になったときの最大の武器になります。



 


■ 回収率を上げるために意識していること

 

最後に、テンプレートを生かすうえで私が意識している考え方を、整理しておきます。

 

督促は勝ち負けではなく、回収が目的です。借主を敵にすればするほど、回収は遠のきます。

 

一部だけでも入金してもらうという小さな着地点を提示すると、相手は動きやすくなります。

 

未入金よりも、無反応こそが危険信号です。連絡を切らさない設計を作ること。

 

そして、すべての履歴を残しておくこと。これが大家さん側の最大の防御になります。




■ まとめ

 

滞納対応で一番やってはいけないのは、最初から強く出て関係を壊すこと。

 

そして、保証会社への報告のような「正しい手続き」を、機械的にこなしてしまうことです。

 

甲南の一件で私が痛感したのは、正しさよりも、順番と伝え方が現場を回すということでした。

 

強さではなく、順番。

感情ではなく、設計。

 

この二つを軸に三段階テンプレを使っていただければ、賃貸経営の精神的な消耗はぐっと減るはずです。





■ よくあるご質問(Q&A)

 

Q1. 滞納が出たとき、家賃保証会社にはすぐ報告すべきですか?

 

契約書上は即報告が原則ですが、私の経験では、第1段階のやんわり連絡を入れて反応を見てから報告した方が、関係を壊さずに済むケースが多いです。特に法人借主や、長く付き合っている入居者の場合、機械的な即時報告はトラブルの火種になることがあります。

 

Q2. 連帯保証人への連絡は、いつ入れればいいですか?

 

第3段階の最終通告は、本人と同時に連帯保証人にも同内容を送ることをおすすめします。保証人は「知らなかった」では責任を逃れにくくなりますし、保証人経由のプレッシャーで回収が早まることも少なくありません。

 

Q3. 督促を続けても支払いがない場合、次は何をすべきですか?

 

信頼関係の破壊が認められる目安は、おおむね3ヶ月の滞納です。これを超える場合は、内容証明郵便の送付、建物明渡訴訟、強制執行という法的手続きに進むのが一般的な流れです。滞納家賃の消滅時効が5年であることも意識して、早めの段階管理をおすすめします。



執筆:石田敦也

ダイヤモンドコンサルティング(神戸市北区鈴蘭台)

保有資格:宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/相続診断士

対応エリア:神戸市・芦屋市・西宮市

 

賃貸管理・不動産売買・相続相談を行っております。

 

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