洗濯機置き場なしのワンルーム、4万円の工事で家賃3,000円上げた実例
- 石田敦也

- 20 時間前
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4万円の工事で、毎月3,000円の家賃が増えた。
種明かしをすると、バルコニーにある給湯器の給水管を分岐させて、洗濯機用の水栓を取り付けただけだ。排水はバルコニーの既存排水口に流す。室内配管の工事は、一切ない。
「洗濯機置き場なし」という弱点が、頭を使うことで消えた実例を紹介する。
その物件が抱えていた「致命的な弱点」
オーナーが新たに物件を購入した。約15平米のワンルームで京都工芸繊維大学のすぐそばという好立地で、入居者のほぼすべてが学生という物件だ。
設備は特別に古いわけでもなく、普通の物件だった。ただ、ひとつだけ気になる点があった。室内に洗濯機置き場がないこと。共用部分にコインランドリーを設置して、それで対応する設計になっていた。
洗濯機置き場は、今の入居者にとってほぼ「あって当然」の設備になっている。それがないだけで、内見の土俵にすら上がれないケースも少なくない。オーナーもそのことは気にしていた。
加えて、管理側としても悩みがあった。コインランドリーの集金ボックスが、何度か盗難に遭っていたのだ。被害届の手配、オーナーへの報告、業者との連絡——そのたびに時間と手間がかかり、地味に負担だった。
工務店が出した答え:「給湯器の給水を分岐する」
このオーナーには、長年一緒に仕事をしてきた工務店があった。フットワークが良くて、物件のことをよく知っていて、現場の感覚に長けた頼れる職人さんだ。
そこから出てきたアイデアが、なかなか面白かった。
バルコニーにある給湯器の給水管を分岐させて、洗濯機用の水栓を新しく取り付ける。排水は、排水口に接続する専用パイプを設けて、バルコニーの既存排水口へ流す。室内の配管を引き直す必要もなく、大掛かりな防水工事も要らない。追加するのは分岐継手と水栓と排水パイプだけ、という話だった。
1部屋あたりの費用はおよそ4万円。まず空き部屋から順番に工事を進めていった。
もうひとつ、この物件には「うまく噛み合った条件」があった。特に募集条件に制限を設けていたわけではないのだが、実際の入居者はほぼ男性学生だった。バルコニーに洗濯機を置くスタイルに対して抵抗感が少なく、この方法がうまく機能した理由のひとつだと思う。
結果:13ヶ月で投資回収、家賃は3,000円アップ
工事が終わったあと、オーナーは家賃を3,000円引き上げた。「洗濯機置き場あり」という条件がひとつ加わっただけで、物件の見え方が変わった。
工事費(1部屋):約4万円 ・家賃値上げ幅:3,000円 / 月 ・投資回収期間:わずか13ヶ月
値上げ後も、入居はこれまでと変わらず普通に決まっていった。大学そばのワンルームという立地と、男性学生というターゲット層が、バルコニー洗濯機置き場とちょうどよく合っていた。
それともうひとつ、うれしい副産物があった。全室に洗濯機置き場が完成してからは、コインランドリーの盗難の心配がなくなることだ。設備そのものがなくなったのだから、当然といえば当然なのだが、管理する側としてはとても助かった。
この方法を試す前に、必ず確認してほしいこと
ここまで読んで「うちでもやってみようかな」と思ったオーナーがいれば、ひとつだけ事前に確認してほしいことがある。
今回の物件がこの方法で問題なかったのは、その地域が「合流式」下水道だったからだ。合流式というのは、家庭からの生活排水(汚水)と雨水を同じ管でまとめて処理場に送る仕組みのこと。バルコニーの排水溝に洗濯機の排水を流しても、最終的には処理場できちんと処理される。
一方で、「分流式」の地域ではバルコニーの排水溝が雨水専用の管につながっていることが多い。そこに洗濯排水(汚水)を流すことは、下水道法施行令第8条4号に違反する可能性があり、場合によっては行政からの是正命令や罰則の対象になりうる。
自分の物件がどちらの方式かは、市区町村の上下水道担当窓口で番地単位に確認できる。京都市なら「スミトン(公共下水道台帳管理システム)」でオンライン確認も可能だ。他の自治体も、電話一本で教えてもらえることがほとんどなので、工事の前に確認してほしい。
「お金よりも知恵」で物件の価値は上げられる
この事例が面白いと思うのは、費用が安かったことだけではない。問題の構造をきちんと読んだうえで、もともとある設備(給湯器の給水、バルコニーの排水溝)をうまく組み合わせた点にある。
大きなリノベーションをしなくても、物件の競争力を上げる方法はある。それを実現したのは、オーナーと長く関係を育ててきた工務店の経験と知識だった。管理会社の仕事のひとつは、そういう「現場の知恵を持つ人とオーナーをつなぐこと」でもあると、この経験を通じて改めて感じた。
弊社では、物件をどう磨くか、収益をどう最大化するかという、上流の管理戦略を大事にしています。
【執筆者】
石田敦也/ダイヤモンドコンサルティング
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・相続診断士
対応エリア:神戸市・芦屋市・西宮市
神戸で長年、不動産売買・賃貸管理・相続相談に携わってきました。
このブログでは、現場で実際に起きた出来事をもとに、
大家さん・地主さん・相続資産をお持ちの方に向けて、
失敗を避けるための実務的な視点をお伝えしています。



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